2022年7月11日月曜日

『近代日本の音楽百年』書評会

昨日はポピュラー音楽学会で、細川周平『近代日本の音楽百年』の書評会。本書成立のモチベーションとして、従来の西洋音楽輸入の歴史という「上からの歴史」ではなくて、大衆的な音楽の歴史という「下からの歴史」が必要なのだということで、この会の最終的な結論も「上から」は今まで十分にあったから、これからは「下から」だ、というようなことでまとまっていた。私がそれを聞いて感じたのは、「上から」といっても、歴史に残るような一流の音楽家たちの歴史であって、西洋古典音楽にかかわっていた人たち(聴衆、愛好者、アマチュア、楽譜や雑誌の出版、同好会的なもの、などなど)も多くいたのではないか、ということだった。そしてこれらの歴史はまだないように思う。これらの、すごく「上」でもないが、大衆音楽というような「下」でもない、いわば「中間層」(?)はどうなのだろう?しかし、また考えてみると、近代日本のすべての音楽について調べ上げるということが必要なのかどうか。なんとなく「一番正確な地図は実物代のものだ」というようなパラドックスも思い起こさせる。(忘れないうちに書いておきました。)