2012年4月9日月曜日

花について

日本文学中の「花(桜の花)」について、思いつくまま……。

西行(1118〜1190)
ねかはくは はなのもとにて 春死なん そのきさらきの 望月の比

梶井基次郎(1901〜1932)
桜の樹の下には屍体が埋まっている!

坂口安吾(1906〜1955)
花の下では風がないのにゴウゴウ風が鳴っているような気がしました。そのくせ風がちっともなく、一つも物音がありません。自分の姿と跫音ばかりで、それがひっそり冷めたいそして動かない風の中につつまれていました。花びらがぽそぽそ散るように魂が散っていのちがだんだん衰えて行くように思われます。それで目をつぶって何か叫んで逃げたくなりますが、目をつぶると桜の木にぶつかるので目をつぶるわけにも行きませんから、一そう気違いになるのでした。