2009年7月7日火曜日

シューベルトとブラームス

なかなか画像の操作が難しくて、ばらばらになってしまいましたが、次と次の楽譜の写真を見ながら読んでください。シューベルト《楽に寄す》は最後の部分で「Hast mich in eine beßre Welt entrükt」(私をよりよい世界へ運んで行った)とあって、その言葉通りメロディーが「G-A-H-C-E」と上がって行くのですが、もう一度この言葉が繰り返されるところでは、「C-E-G-H-C」と下がってしまいます。これは、シューベルトが古典派のスタイルに忠実だからで、そこに上へ上がったら下がって行くというバランス感覚を見て取ることができます。それに対して、ブラームスでは最後に歌詞は「歌声は消えて行く」、森の上方に消えて行くのですが、メロディーは「B-H-C-Cis-D」と上がって上がりっ放しです。これこそロマン派・ロマン主義と言えるのではないか、と思ったのでした。