2013年1月11日金曜日

Henri de Régnier, La vie vénitienne

Henri de Régnier, La vie vénitienne, Mercure de France, 1963. 読了。レニエの名は、ラヴェルの《水の戯れ》のエピグラフで知ったのだった。それから色々探して、邦訳が青柳瑞穂訳で出ているのを手に入れたりした。(『水都幻談』。いづみこさんはその孫だ。)その後、いくつかの書物を手にし、ぱらぱらと読んではいたが、きちんと読通したのは初めて。マラルメの弟子として、また貴族であり、アカデミシャンということで、なんか立派すぎて逆に面白くないのではないか、とちょっと敬遠気味であったのは確か。しかし、一読、なんと素晴しい紀行文だろうか。フランス語の美文というのは、これなんだろうな、と思う。美しい文章で、ヴェネチアの陰影に満ちた風景とそこでの経験を、ノスタルジックに描き出すというのは、もう今では流行らないのだろう。これを日本語でできたらどんなにいいだろう(そして、どんなに時代錯誤だろう!)。1899年から1924年にまでいたる、折々のヴェネチア滞在記(および付随するパリ記)。彼にとってのヴェネチアをぼく自身のパリにちょっと重ねたりもした。最後の1924年の滞在では、サン=マルコ広場でファシストの集会があったりするのが、時代を感じさせる。