2021年5月25日火曜日

湊谷亜由美コンサート

 先日の日曜日に湊谷さんのコンサートに行った。久しぶりの対面コンサートでもあり、内容もとても良かったので感想を。

ショパンの作品55の2は自分で弾いても何だか要領を得ない曲で、美しい楽想が次々と続いているだけの感じなのだが、これを湊谷さんはやや遅いテンポで説得力をもって作っていた。特に終わりの方の「鐘の音」(これはそう言われて初めて気付いた)とそれからの集結部への向かい方に納得である。最後の5つの和音の連なりが必然性を持って聞こえた。
マズルカの対位法へと導く方向性も良かったし、クラコヴィアクのテンポもなるほどと思わせる。ポーランド仕込みの徳である、なかなかその辺で聴くことはできない。
ロンドは初めて聴いたが確かに習作の域を出ない。しかしコンチェルトへの筆慣らしであろうし、これがあることで次のノヴァコフスキへと続くプログラムの流れが滑らかである。
というのもこの日本初演のピアノ五重奏は確かにピアノコンチェルトの室内楽版の趣がある。ショパンの香りも確かにする。特に第1楽章の提示部や再現部のコーダへと向かう部分のピアニスティックな部分はそうだ。しかし第2楽章からフィナーレまで3拍子が連続するのは驚いた。これがポーランド流?でもとても良い曲である。第2楽章のスケルツォのロマン的な激しさがすぐに優しくなるところは微笑ましい。
細かい点だが私は絶対音感がないので、プログラムに調性を書いておいてくれるとありがたいと思った。


2021年5月22日土曜日