2014年10月16日木曜日

絶望者

レオン・ブロワ『絶望者』(田辺貞之助訳、国書刊行会)を読む。ビニェスが絶賛した作であり、後に作者と親しく交わることになった、ということで読んでみた。うーん……。汚辱にまみれた世の中に憤っているのはよくわかるのだが……。理想はカトリック本道の王統派ですな。敵は黒い金でぶくぶく太ったブルジョワと、その手先のジャーナリスト、作家、そしてユダヤ人。また堕落した聖職者たち。彼らを憎む気持ちはよくわかるが、かなり近視眼的な批判である。でも当時の雰囲気はよくわかるね。アルマン・シルヴェストルとかポール・ブールジェがくそみそにやっつけられているのは、面白い。フォーレやドビュッシーが曲を書いているんだよね。