2014年12月1日月曜日

Stravinsky's Piano

Graham Griffiths, Stravinsky's Piano : Genesis of a Musical Language, Cambridge U. P., Cambridge, 2013 を読んだ。お仕事。しかし、なかなか興味深い。特にストラヴィンスキーがロシアでついていたピアノの先生が Leschetizky という教師のメトードを使っていて、そこにオクターヴに手を固定して中の和音構成音を色々変化させて練習するというのがあり、それが後にストラヴィンスキーの語法に影響を与えていたというのがある。ドミソド、ドミ♭ソド、ドミ♭ラ♭ド、ドミラド、ドファラド、ドファラ♭ド、ドミソシ♭ド………という感じ。これが延々続く。この「アナーキー」さ、「無意味さ」が、ひいては調性音楽的コンテクストを破壊、ということなのだろうが、改めて考えてみると、ラフマニノフの嬰ハ短調プレリュードとか、二番のコンチェルトの冒頭とかも、やはりこれから来ているのだろうか。