2015年3月4日水曜日
エリック・サティ
エリック・サティ『卵のように軽やかに サティによるサティ』(秋山邦晴・岩佐鉄男編訳、ちくま学芸文庫)を学校への行き帰りに読んだ。懐かしいフレーズがいっぱい。「あんなに気味の悪い変ロ音はなかった」とか「私は白いものしか食べない」とか。しかし、残念なのは、この本の訳注の付け方がおかしいところだ。ボードレールやユーゴまで、あまつさえバッハやモーツァルトにさえ訳注がついている。これって必要?その一方で、ティエールやギュスターヴ・リヨンやロイ・フラーには注がついていない。その注、ヴュイエルモーズにつけられた訳注には間違いがある。彼が「ゴーティエ=ヴィラール」というペンネームで「ゴーストライターの評論家」を務めた、とあるが、もちろんアンリ・ゴーティエ=ヴィラールは、ヴィリーとかウーヴルーズのペンネームの評論家、コレットの御主人ですね。実在の人物です。そして、彼がヴュイエルモーズやセヴラックをゴーストライターとして使ったのだった。またペキュシェも、由来はフローベールですよね。岩佐先生が小林康夫先生に訊けば、一発でわかったろうに。うーん、こういうように瑕瑾無しとはしない訳書だけれど、サティの全貌がこれ一冊で大体わかるのは、貴重とするべきか。