2015年6月14日日曜日

芦屋モダニズムに思いを馳せて

芦屋市立美術博物館に「モダン芦屋クロニクル」関連のコンサート「芦屋モダニズムに思いを馳せて」を聴きに行った。演奏は日本センチュリー交響楽団の松浦奈々さん(Vn)と安永友昭さん(Perc)、そしてピアノの宗和純さん。プログラムは貴志康一の《竹取物語》、《月》、《花見》、そして同時代のガーシュイン《プレリュード》、バルトーク《ルーマニア民俗舞曲》、ピアソラ《リベルタンゴ》。アンコールはクロールの《バンジョーとフィドル》。貴志康一は以前に書評を書いたときには大したことのない作曲家だと思っていたが、それは実際に聴いたのがオーケストラ作品のCDだけだったからで、他には楽譜を見て判断していたのだが、こうして生のヴァイオリン演奏で聴くと全くその様相を変えて聞こえる。これは貴志自身がヴァイオリニストであったこともあるだろう。楽譜にしてしまうと、もちろん彼の音楽は、たとえば同時代のリヒャルト・シュトラウスやシェーンベルク、ヒンデミットなどと比べて見劣りがするのは否めない。ドイツ流の「絶対音楽」的価値ではなくて、音楽の「表層」に彼の真価はあるのだろう。ドイツに行ったことで、彼はひどく損をしたような気がする。彼がドイツではなくてフランスに行っていたら、という想像は、なかなか楽しいものがある。その後、展覧会をゆっくりと見て回る。家のそばの、昭和初期の様子を描いた日本画があって、面白かった。