2013年3月2日土曜日

METAPHOREST

早稲田大学先端生命医科学研究センターで28日(金)に講演をした。『音楽的時間の変容』の前史から成立、そしてその後、といった内容。ぼくを招待してくれたのは早稲田大学電気・情報生命工学科教授の岩崎秀雄さんの研究室。そこではまったく理系の生物学の研究と同時に、芸術・美学的な研究も行われるという非常に特異な場所であった。非常に多様・多彩な人々に出会った、世の中には色々な人がいるのだなとひとしきり感心である。ぼくの本に興味を持ってくださったのはアーティストの堀江俊行さんだが、彼は『ずれ木魚』とか『まる』とか、人間的な「ずれ」を増幅するようなアート作品を作っている。(まさしく「こと」と「もの」との「ずれ」のような?)岩崎さん本人も切り絵アーティストであり、光合成するバクテリアを素材に作品を作る。他にも、ランや熊などを素材に「内部観察」的日本画を描く中村恭子さんとか、金魚解放運動の石橋友也さんとか、母親二人から子どもを作る石川智章さんとか、生体膜アートのホアン・カストロさんとか……、何と多彩な陣容だろう。他にも講演会の質疑応答やその後の懇親会でいろいろと話をさせていただいた人々。そして、岩崎さんの『〈生命〉とは何だろうか』(講談社現代新書)もいただき拝読。彼の生物学と芸術との接点を探ろうとする態度の理論的な基盤を理解することができた。いろいろと考えさせられる、特にぼく自身が「生命」ということをだんだんと考えるようになってきているだけに。
そして、昨日芦屋に帰って来て、今日は下田さんとHirosさんと今度のCAPでの講演のうちあわせ。これもまたいろいろと刺激的な話になる。面白くなりそうだ。