2011年11月29日火曜日

「クラシック音楽」はいつ……

岡田暁生『「クラシック音楽」はいつ終わったのか?」(人文書院)読了。いつも思うのだが、日本語の「クラシック音楽」に対応するフランス語はない。La musique classique と言うと、日本語の「古典派音楽」のことになるだろう。苦し紛れに、場合場合で訳し分ける。例えば、la musique occidentale traditionnelle (西欧伝統音楽)とか、la musique sérieuse européenne (ヨーロッパのシリアスな音楽)とか、la musique savante continentale(大陸の学術的音楽)等々。他にも、機能和声法に基づいた18、9世紀の西洋音楽とか。その辺の曖昧さがクリアされていませんね。またここで論じられているのはドイツのことだけだね。ここにフランスや、イギリスや、イタリアや、アメリカなど(中央・東ヨーロッパ諸国も)の事情を加味すると、もっと論に深みが出るだろう。音楽的ナショナリズムの広汎な広がりを考慮すべきだと思う。