2013年7月9日火曜日
Ricardo Viñes
Mildred Clary, Ricardo Viñes : Un pèlerin de l'Absolu, Musicales Actes Sud, 2011. 読了。これでようやくビニェスの謎の生涯がわかった。彼は浮浪者のようになって死んだ、というようなことを聞いていたが、1940年からの晩年のバルセロナでの三年間は、確かに相当に悲惨なものだったようだ。これも戦争のせいだ。アリシア・デラローチャ・トーラさんに、モンポウがマーシャルにあてた手紙を見せてもらったが、そこには南米で事故にあったビニェスを助けるための募金のことが書いてあった。この事件についても、この本で解明された。ビニェスは事故にあったのではなくて、指の故障で演奏ができなくて困っていたのだった(事故には、あいそうになったらしいが)。ラヴェルとの交友(ラヴェルの弟の写真を初めて見た、そっくりだ)、セヴラックとのそれ、そしてモンポウとセヴラックの中間点に彼がいたこと、また彼の神秘主義や数秘主義への傾き、そして(残念なことに?)そこから来るギャンブル好き……、いろいろと面白い発見があった。