ジョージ・オーウェル『カタロニア讃歌』(都築忠七訳、岩波文庫)、ジャン=ジャック・ナティエ『レヴィ=ストロースと音楽』(添田里子訳、アルテスパブリッシング)、ルイージ・ケルビーニ『対位法とフーガ講座』(小鍛冶邦隆訳、アルテスパブリッシグ)を読む。後二者は仕事。オーウェルの書は複雑な内戦時のバルセロナの状況をわからせてくれる、そして何故フランコが勝利したかも。
ここに忘れないようにいくつかの勢力の説明を書いておこう。
POUM : Partido Obrero de Unificación Marxista (マルクス主義統一労働者党):オーウェルがそのもとで戦った(しかし入党はしなかった)陣営。イギリスのILPと近くそこから彼は派遣された。トロツキスト、あるいはファシストとさえ看做され、共産党陣営から迫害される。CNTともUGTとも繋がるが、影響力のあったのは前者。レリダが本拠地。
PSUC : Partido Socialista Unificado de Cataluña (カタロニア統一社会党):共産党の支配下にあり、第3インターナショナルに参加。ソ連と繋がっている。奇妙なことに反革命であった。バルセロナが本拠地。
UGT : Unión General de Trabajadores (労働者総連合):社会党・共産党系。PSUCの基盤。組合員数150万。小ブルジョア&労働者。
CNT : Confederación Nacional del Trabajo (全国労働連盟):アナキスト系。労働者・農民が多い。組合員数200万。
FAI : Federación Anarquista Ibérica (イベリア・アナキスト連盟):CNTと一緒に論じられる場合が多い。
しかし、細かく見て行くと、上述に矛盾するところもあり、かなり混乱している状況であったことは確かだ。19世紀から続くバルセロナの労働運動の歴史が負の方向に作用したと見ることもできよう。
2014年5月31日土曜日
2014年5月26日月曜日
反哲学史とPoulenc
木田元『反哲学史』(講談社学術文庫)とFrancis Poulenc, A bâtons rompus, Actes Sud, 1999. を読む。木田の書物は前の『現代の哲学』の前史ということらしい。プーランクは彼のラジオ番組の記録。彼独特の「民俗音楽」(=「ポピュラー音楽」?)の定義「誰が作ったのかわからないままに、民間に流布されている歌」というのが面白い。フランスのシャンソンなどもそこに入るわけだ。
奈良ゆみ、クルト・ヴァイル
先週土曜日は午前中にやっとバルセロナからの船便が到着。夜には奈良ゆみさんのクルト・ヴァイル「ベルリン、パリ、ニューヨーク」。この間にパリに行った時に弾かせてもらったもの。こうやって順序立てて聴くと、ヴァイルの変化がよくわかる。ベルリン時代は苦み走っていたものが、パリ、ニューヨークと移動するに連れて、その苦みが消えて行く。でも最後までそれが9の和音の形で残る。それであの《スピークロウ》のようなメロディが生まれたのだな。あの和声進行は素晴らしい。これがジャズのスタンダードになって、だからぼくが今のジャズを聴けるのもそこだし、モンポウなどが(あるいはフランス印象派が?)ジャズと比較されるのも結局、ヨーロッパ・オリジンなのだから当然、と思う。あの暗黒の時代のバルセロナで窮死したビニェスを思ったりした。
2014年5月19日月曜日
立原道造・堀辰雄
『立原道造・堀辰雄翻訳集、林檎みのる頃・窓』(岩波文庫)読了。高橋英夫の解説「青春の翻訳」の「青春」というのは何か意味があるのかな、ぼくなどにとってはこれは全く別の世界で、それを「青春」というように閉じ込めてしまうのは貧困化以外の何ものでもないと感じられる。だいたい何が青春でエ、てへげえにしな!(まだ弥次喜多)
2014年5月16日金曜日
東海道中膝栗毛
十返舎一九『東海道中膝栗毛』上下(岩波文庫)読了。東海道の話はほぼ上巻だけで、下巻は伊勢・京都・大阪の話であった。芦屋に住んで、京都に勤め、大阪で飲む、という(さらに神戸でインド音楽を聴く)東京もんのわたくしめの状況が「現代の弥次喜多」状態であったことに気がついた。「アヽ、きめう〵、おきやアがれ、ハヽヽヽヽ」
2014年5月12日月曜日
実験工房 in 新開地
昨日は神戸アートヴィレッジセンターで「実験工房 in 新開地」のコンサート。第一部電子音楽、シェフェール・武満・アルチュイス・マクラレン・マデルナ・諸井/黛・秋山/檜垣の作品、檜垣智也氏演奏。第二部ピアノ、河合拓始氏演奏で、武満・湯浅・佐藤・鈴木・福島・河合作品。第一部は1957年大阪でのコンサートの再現。素晴らしい多様性に富んだプログラム。当時の熱気が伝わって来るようだ。録音では知っていても、やはり生の演奏の響きは違う、当たり前のようだが。その上、現代テクノロジーのおかげで、より豊かな響きが得られる(アクースマやピアノに取り付けられたPAなど)。ということは、これは正確には「生」ではない?人間とテクノロジーの関係とはかくも複雑である、ハイデッガーを思い起させる。東京から作曲者、福島和夫御本人が来ておられ、その後の打ち上げにも。私も部外者ながら参加させてもらい、いろいろと面白い話を。
2014年5月10日土曜日
2014年5月8日木曜日
カメラを持った男
ジガ・ヴェルトフ監督『カメラを持った男』ピエール・アンリ作曲檜垣氏の演奏。寒梅館にて。アンリの本領とは実はこういうところにあるのでは。だから、逆に《一人の男のための交響曲》や《ドアとため息の変奏曲》とか、とても映画的とも言える気がする。
2014年5月6日火曜日
民謡からみた世界音楽
細川周平『民謡からみた世界音楽』(ミネルヴァ書房)読了。やっと今頃。しかしカタルーニャ民謡のさまざまな在り方を実地に見て来たおかげで、理解が深まった、というか、実を言えば本音は「民謡というものがますますわからなくなった」。困りましたね。
David Trasoff
ゆうべは Cap Q2 で「国境を越えたラーガ音楽」。最初は Hiros さんのバーンスリーと中尾幸介さんのタブラー、次にデイヴィッド・トラソフさんのサロードと中尾さん、最後に全員でベンガルの民謡。実にコンパクトにまとまった良いコンサートだった。トラソフ氏の演奏したラーガの名前をききそびれたが、とてもフラメンコに似ていると思った。この間読んだフラメンコ音楽の起源がインド音楽だという本の記述を思い出した。コンサート後のカレーもとてもおいしかったです。大根とねぎがはいってネパール風(?)という。岐阜から三輪さん夫妻も来ていた。
2014年5月5日月曜日
鏡花
田中励儀編『鏡花紀行文集』(岩波文庫)、木田元『現代の哲学』(講談社学術文庫)読了。というわけで鏡花の影響で今日は『東海道中膝栗毛』をラポルテのジュンク堂で買って来た。木田元の本はこれが彼の処女作だったとはしらなかった。マルクス主義への言及の多さは時代でしょうか。大学教養課程の哲学史で城塚先生の授業をとったのを思い出した。
2014年5月1日木曜日
Jacqueline
昨日は朝に到着した Jacqueline Caux と Tazz さん、下田さんと寒梅館で Man from Tomorrow の試写会。その後、先斗町でお食事。しかしジャクリーヌは、飛行機の中で全然眠れなかったと言いながら、とっても元気。祇園の真ん中の4部屋しかない「民宿」(?)に泊まって、庭付きなのよ、と大変喜んでいた。Hier avec Jacqueline (arrivée le matin !), Tazz et Nobu Shimoda, essai pour la projection de son film, Man from Tomorrow à Doshisha. Puis dîner à Ponto-chô.
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