Briançon のスキー場で我々日本人グループが、perches という、それにスキーを履いたまま跨がって引っ張られながらゲレンデを登って行く装置に慣れておらず(これは日本には存在しない ー と思う)、片端から転び、引きずられ、何回も繰り返したのを見ていたフランス人の係員の叫んだ一言である。「こいつら気が違っている、この中国人たちは!」いやいや、私たちは日本人ですよ、などと抗弁する余裕さえないのであった。Non, non, vous avez tord, nous sommes Ja-po-nais !
そう、なぜこれを思い出したのかと言えば、『〈悪しき〉文化について』を読んでいるからである。他者を理解するとはどういうことか。我々はフランス人たちのアジア人蔑視を感じ、反発する。しかし、それと同時に、「我々は中国人などではない」と思う気持ちの中には、日本人の中国人蔑視が混入している。