2015年7月13日月曜日
フランス・ルネサンスの人々
渡辺一夫『フランス・ルネサンスの人々』(岩波文庫)とコリャード『懺悔録』(大塚光信校注、岩波文庫)を読んだ。前者は、時代的にはこの間の『フランス・プロテスタントの反乱』の時代の少し前の話で、どうしてこのような歴史の流れになったのかが、よくわかる。しかし渡辺一夫の視点は、戦後日本の現実をもみつめていて、それが、実に、現在も変わらず通用するのが、何と言うか、日本は変わってないなあ、という慨嘆である。もちろん、宗教戦争については現在の世界情勢にも通用する話で、それどころか以前にもましてそうだという気がする。いずれにせよ、そのような変わらない嘆きと同時に、後者においてはもっと感じたのだが、人間はやはり少しずつでもより「人間的に」なってきている、コリャードが伝える戦国末期の日本の、たとえば子どもの扱い(「間引き」など)は、今では考えられない。これはキリスト教というものが、もともと、旧約的世界の暴力性を「人間的に」したこととも関連があるだろう。現代の我々はそれが余り見えなくなっている。