2015年7月4日土曜日
音楽演奏の社会史
大崎滋生『音楽演奏の社会史 ― よみがえる過去の音楽』(東京書籍)、 Portraits polychromes : Luc Ferrari, INA, 2007 (nouvelle édition augmentée) を読んだ。後者は再読。Gayou によるフェラーリへのインタビューがあって、これが彼の映画やヘールシュピールについて言及しており、なかなか。使えそうである。前者は昔買っておいて読んでいなかった。「美学」で講義していることのおさらいめいてもいるが、細かい発見もあって、楽譜に書いていないことが、全てなかったわけではない、というのは目からウロコである。18世紀以前に、ピアノとフォルテしか書いていないからと言って、クレッシェンドやデクレッシェンドがなかったわけではない、とか、アレグロの中に突然アダージオがあるところは、実はリタルダンドだった、ということなど。特に昨日、ふと思い付いてハイドンの初期のソナタを弾いていたのだが、まさしくその例が出て来るのである。なんじゃこりゃと思っていたので、まさにタイムリー。