第2回京都大学稲森財団合同京都賞シンポジウムに行ってきた。場所は京都大学百周年時計台記念館、初めて京大の時計台を見た。清水哲夫の詩集の写真の印象が強くて、何だか遠い不思議な感じ。
近藤譲さん、三輪眞弘さんの講演、中川俊郎さんのミニコンサート。近藤さんの話の「古代ギリシャのテクネーは技術、ヨーロッパ中世のアルスは知識、近代のアートは作品」というのは、なるほどと思わせた。自由学芸、アルス・リベラーリスはまさに知識だし、近代のアート概念と同時に批評とか趣味が生まれるわけだから。意味論的内容と記号論的内容の話も面白かった。三輪さんの仕事は、今回授業の関係でホフマンを再読していたおかげで、『砂男』の話、ひいてはフロイトの「不気味なもの」との関連を考えさせられた(三輪さんの言う「祈り」とは離れるけれど)。中川さんの演奏と作品は初めて聴いたが、現代日本には本当に才能のある人が(例の新垣さんも含め)たくさんいるのだな、と感じた。コンサートの曲目は、バッハ《14のカノン》、メシアン《鳩》、ケージ《ピアノのためのソロ》、近藤譲《メタフォネシス》、中川《ピアノのための組曲》、アンコールに中川《ひまわり》だった。バッハで始まって、CM音楽で終わるのは、ある意味、「芸術ではない音楽」で一貫している気がした。色々考えさせられる点である。